読み終えたのは夜中1時、こんな時間まで読んだ事は最近なかった。
どうしてもラストが気になり途中でやめることが出来なかった。
この物語は第一部に「乳と卵」が入っています。
第二部は乳と卵の続きのようになっているので、夏子、巻子、緑子の8年後から始まります。
今回は主に夏子の話しになっています。
夏子は1冊の本を出版し、小説家として活動しています。
小説家なのでどうしても作家の川上さんを想像しながら読んでしまいます。
編集者との関係とか、他の作家さんの事など、フィクションだとは思いますが、ノンフィクションのような気持ちで読んでしまいます。
そして夏子の考えも川上さんとだぶり、実際こんな事があったのかなぁと感じさせられました。うまい作家さんです。
夏子は38歳独身、以前付き合っていた彼氏がいた。
夏子はSEXに快楽を感じる事が出来ない。結局彼氏とは別れた。
でも自分の子供に会いたい。
SEXなしで子供を生みたいと考える。
パートナーなしで、妊娠、出産を目指す夏子。
第三者の精子を使った不妊治療が日本で始まったのは、60年以上前。これまで1万人以上が誕生している。
病院でこの治療を受けられのは、不妊治療を受けた夫婦だけ。
未婚女性は利用できない。
ネットで調べると他にも方法があり、体験談とかもある。
実際精子提供(AID)で生まれてきた逢沢君。
普通の家庭で育ち医者になったが、30歳になって始めて自分の出自を知り愕然とする。
本当の父親を知りたいと探そうとするが、手がかりが少なくて分からない。
「親はみんな同じ事を言うの。
赤ちゃんは可愛いから。育ててみたかったから。自分の子供に会ってみたかったから、
女としての身体をつかいきりたかったから。好きな遺伝子を残したかったから。
あとは淋しいからだとか、老後をみてほしいから、全部根っこは同じ。
子どもを生む人は、自分のことしか考えない。
生まれてくる子供のことを考えて、生んだ親なんでひとりもいないんだよ。」
色々ささるセリフが多い小説でした。
生む事を色々悩み、考える夏子。
生について考えさせられた。
なかなか深みのあるいい本でした。
