本と旅と映画

のんびり気ままに…

スロウハイツの神様

スロウハイツの神様 辻村深月

 

こちらは上下巻の長編小説です。

裏表紙に人気作家チヨダコーキの小説を模倣した大量殺人事件とあったので、冷たい校舎の時は止まるのような怖い小説なのかと期待して読み始めた。

ところが全く違った。

スロウハイツと名付けられた貸家の住人達の心温まるいいお話しでした。

オーナーは、赤羽環で脚本家。

住人達は人気作家のチヨダコーキ、そしてチヨダコーキを売り出した敏腕編集者黒木。

漫画家の卵狩野とエンヤ。画家の卵森永すみれ、監督の卵長野正義の6人。

エンヤは途中で退去し、次に入居したのが加々美リリアと言う謎の美少女。

それぞれ夢に向かって頑張っているクリエイター達の姿や恋愛を織り込みながら、環とチヨダコーキの関係性がとてもよく書かれていて面白かった。

チヨダは自分の書いた小説を模倣して大量殺人が起きた事で深く傷付いていた。

そして学生の頃からチヨダのファンであった環は、チヨダの小説によって救われた人生だった。

私は途中でコーキの天使ちゃんが誰だったのか気付いたが、チヨダはその天使ちゃんにいち早く会い色々プレゼントを送っていたとはなんていい話しだ。

気の強い環がコーキの事になると、いてもたってもいられなくなるのがとても可愛い。

不器用な二人が幸せになる事を祈り終わりたいと思います。