ピカソと言えば抽象的な絵を書くイメージがありあまり好きではなかった。
ゲルニカと聞いてもピンとこなかった無知な私でした。
教科書とかにも取り上げられるピカソの代表作の絵のようで、昔習ったのかもしれないがすっかり忘れていました。
この本を読みゲルニカの描かれた歴史的な背景とかよくわかりました。
ドイツがスペインのゲルニカに無差別爆撃をし多くの人々が亡くなった。
ピカソはアートを通じて、反戦のメッセージを訴えていたのだと。
死んだ子供を抱いて泣き叫ぶ女、折れた剣を握りしめ横たわる兵士、もがき苦しむ馬、逃げ惑う女、二階の窓から腕を突き出しランプの灯火かざす人。死ぬ間際の兵士が最後の力を振り絞って突き上げ拳など解説されるとなるほどと分かる。
分かっただけでもこの本を読んで良かったと思いました。
そしてピカソがゲルニカを描いた時代と、アメリカで起きた9.11同時多発テロの時代を交互に書いています。
どこまでが事実で、どこがフィクションなのか分からなくなりました。
パウエル米国務長官がイラク攻撃の正当性を安保理で訴えた時、ゲルニカのタペストリーに暗幕が張られていたのは事実のようだ。
そんな事があったのも知れて良かった。
今も世界のあちこちで戦争やテロが起きている。
ゲロニカの反戦のメッセージが届いていないのをピカソも悲しんでいるだろう。
争いがこの世から無くなる日は来るのだろうか。
この本を読みピカソの事が分かり、他の絵も見てみたくなりました。
キュレーターをされていた原田さんだからこそ書ける小説有難うございました。