噛み合わない会話とある過去について 辻村深月著
4つの短編小説が入っています。
ラストの話しを読み終え書いていますが、強烈過ぎて戸惑っています。
一話一話読み終える毎に、辻村さんの鋭さが光ってます。
①ナベちゃんのヨメ
この話しはまだマイルドでした。
大学生時代コーラス部でイジられキャラだったナベちゃん。
面倒味がよく好かれてはいたが、恋愛対象にはなっていなかったナベちゃん。
そのナベちゃんが結婚相手を紹介するのだが、その女性はちょっと変わった女性だった。
②パッとしない子
アイドルグループのメンバーの一人佑は、国民的アイドルで日本で知らない人はいない。
その佑の小学生時代を知っている美穂先生。
佑の弟の担任もしたことがある。
みんなから佑を知っている事でどんな子だったのと聞かれ、小学生時代はパッとしない子だったと話す。
そんな佑が通った小学校に撮影に訪れる。
佑は少し時間があるので美穂先生と話しがしたいと言う。
話した事は先生が思っていた事とは違い、恨まれていたのだ。
先生はそんなつもりではなかったのに、子供は傷ついていた。
佑が先生を攻めるシーンとか読み応えあり。
③ママ.はは
真面目な母に育てられたスミちゃんの話し。
「真面目な人って義務が得意なんだよね」
すべき事を与えられると一生懸命こなす事を考える。
苦手なのが娯楽や贅沢。
そうあってほしいのに、どうしてそうじゃないのか。ってよく怒られた。
読んでて自分の子育てを振り返り反省する所もあった。
④早穂とゆかり
早穂は県内情報誌のライター。
ゆかりは有名になった塾の経営者。
二人は小学校の同級生だった。
早穂は運動神経も頭もよく、友達も大勢いる人気者。
それに比べゆかりは運動神経が悪く、何の取り柄もなく、友達もできない冴えない小学生だった。
ところが社会人となり立場が逆転。
早穂はゆかりに取材を申し込む事になり、ゆかりの会社へ出向く。
取材を申込む企画書に「嫌がられるかもしれないのですが、小学校時代の同級生早穂が行くとお伝え下さい」と書いていたのだ。
無意識に書いたようなのだが、そこをゆかりが鋭くついてくる。
小学生時代の嫌な思い出を掘り返し執拗に早穂を攻める。
ゆかりが「気に食わない子が一人いる。その子が存在している事実それ自体が許せない。そこまで相手を強く嫌い、バカにできる労力はどこから来るの?」
教えてほしいと言う。
ゆかりに対して故意にし続けたきた、気まずさが今もあるのにどうして会いに来たの?と攻める。
これはほんの一部だがゆかりの言葉のやり取りが凄い。
彼女は恨んでいた。
最後まで重かった。
これに似たような話しが以前にもあったな。なんだっけ?
こんな鋭い話しを書く辻村さん好きだ。
言葉って難しい。自分も気をつけよう。
わかっているが、嫌な態度を旦那に取っている私だ。相当嫌な奴だ私!