ツナグ 辻村深月著
一生に一度だけ、死んだ人に会えるというお話し。
アイドルの心得
長男の心得
親友の心得
待ち人の心得
使者の心得
それぞれ4話の話しがラストは使者の視点から書かれている。
どの話しもよかったが、一番引かれたのは親友の心得。
嵐と御園二人の女子高生の話しだ。
嵐は自分には親友なんて出来ないと思っていた。
美形で演劇も上手いが、甘やかされて育ったせいか、自分が一番じゃないと気がすまないタイプ。気が強く負けるのは嫌なのだ。
御園はそんな嵐を立てて、優しく、聞き上手で嵐のわがままを許す。
二人は仲のいい姉妹のように登下校も一緒だった。
(御園が知っていたブランドの服を自分が知らなかった時、どんなブランドなのと聞き返せなかった嵐。
自分の性格なのか御園との関係性からきてるのか。)
この場面自分もこういう事あったなと思いあたる節がある。
こんな風に書けるのは作者も思い当たる節があるんだよね。
自分だけ知らない恥ずかしさみたいな。
歳をとってくるとそんなもんも少なくなくなってきた気がする。
話しがそれたけど仲の良かった二人だったが、御園が劇の主人公に立候補してから二人の関係性がおかしくなっていくのである。
嵐は凍るかもしれない坂道の自転車通学路の水道の蛇口をひねってしまったのだ。
そして御園は坂の途中で自転車ごと滑り落ち、下の道で車と衝突して亡くなってしまったのだ。
自分のせいだと思い悩む嵐が使者に依頼して御園に会う事になる。
御園は水道の蛇口をひねった嵐の事を知っていたのか?知らなかったのか悩む嵐。
本当の事を打ち明ける事が出来なかった嵐の苦悩と葛藤。
読ませてくれます。たいしたもんだ辻村さん。
そんなこんなで読み終えたあと、自分は誰に会いたいか考えてみた。
やはり2歳の時亡くなった母だな。
顔も覚えてないけどわかるかしら。